テレビ番組の「カンブリア宮殿」を観ていたら
石川県和倉温泉にある有名旅館『加賀屋』が紹介されていました。

加賀屋の宿泊料金は安くありません。
1泊5万は軽く超えてしまうので、むしろかなり高いクラスでしょう。
それなのに客室稼働率が80%の高さを維持しているとのこと。
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」でも33年連続1位、
日本一の旅館といっても差し支えありません。

加賀屋の小田禎彦会長がお話をされていました。
驚いたのは宿泊料金は高いのに、
主な利用客は生活に余裕のある裕福層ではなく、
一般の庶民というような人たちが多いのです。
そんな人たちが「いつかは加賀屋に泊まりたい」
「何かの記念やご褒美に・・・」
「何かの記念に・・・」という存在になっています。

そんな人たちが利用した時に圧倒的な満足感を与え、
「また行きたい」という気持ちになっているのですね。

ターゲティング

販促・マーケティングやブランンディングでは、
自社や取り扱う商品・サービスの対象になるお客様(ターゲット)を
設定する「ターゲティング」ということを必ず行います。

この加賀屋でターゲティングされ、対象になるお客様は
生活に余裕のある裕福層ではなく、一般の庶民です。
(もちろん裕福層にもアプローチはしていますが)

 その対象になる人に「高くても泊りたい」と思わせるように
「おもてなし」という商品で価値を提供しているのですね。

販促・マーケティングやブランンディングの戦略では、
自社の価値を高め、価格などの競争に巻き込まれないようにするのも
大きな目的のひとつです。

これらの戦略は、中小企業や店舗など
規模が小さいところで大きな効果を発揮します。
最近では、販促・マーケティングやブランンディングの戦略を
取り入れようとすることも多いですが、
そこでまず考えてしまうのが、
お金を払ってくれそうな裕福層をターゲットにしたいとなります。

僕も販促やブランディングのコンサルの現場でよくありました。
クライアントさんと一緒になってターゲティングの作業をやっているときに、
対象になるお客様を収入が高く、お金を支払ってくれそうな人を
ターゲットに設定しようとしてしまうのです。

単に収入の高い裕福層をターゲットにしたからといって、
その人たちが選んでくれることはありません。
選ばれるには『高くても納得』してもらわなければいけないのです。
それが歴史だったり権威だったりしますし、
商品開発力のすごさだったり、規模の大きさだったり、
広告やブランディングツールを豪華にしたりで、
『高くても納得』という感情になっていくのです。

ただ単純に高い価格設定だからといって、
裕福層が選んでくれることは絶対にありません。

でも、この加賀屋のように「高くても泊まりたい」となるには、
商品開発力のすごさだったり、規模の大きさだったりだけではないのです。

庶民が「高くても泊まりたい」と思われるように、
『圧倒的なおもてなし』を追求していった結果がこうなっていったのですね。
現在の加賀屋は規模が大きいですが、
商品開発力のすごさだったり、規模の大きさが
加賀屋の『おもてなし』をつくりあげていったわけではありません。
もともとあるものを組み合わせて、
どうやって新しい価値として提供するか?を戦略として考えた結果、
圧倒的な『おもてなし』ができていったのでしょう。

ターゲットにした人が何を欲しがっているのか?
どんなことで喜ぶのか?という想像をし、価値をつくっていきます。
そこで加賀屋は、ターゲットである庶民の人が
今まで体験したことがないような価値を提供しようと考えているのでしょう。

その価値がを伝わるように発信し、
「いつかは加賀屋に泊まりたい」「何かの記念やご褒美に・・・」
「何かの記念に・・・」という存在になり、
高くても選ばれる日本一の旅館になっていったのですね。

自社の対象のお客様を決めるときに、裕福層を選ぶ以外にも
価値を高める販促・マーケティングやブランディングの戦略はできますし、
もともとある経営資源を組み合わせて、
新しく圧倒的な価値はできるものなのですね。

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